遠藤会長はまた、2000年代以降の医療費抑制策が医療現場や患者に悪影響を与えているとの見方を示し、「技術進歩や高齢化の進展を踏まえて、国民の要求する医療を提供できるのかというと、もう無理だと思う。国民所得と国民医療費の伸び率をリンケージさせるような施策は限界に来ている」となどと指摘した。その上で、今後は目指すべき医療提供体制を示し、そのために必要な医療費や、国民による負担を議論する必要があると指摘した。
病院、診療所間の医療費配分は、2008年に実施された前回の診療報酬改定をめぐる議論で最大の焦点になり、診療所の再診料を引き下げるかどうかで中医協の意見が分かれた経緯がある。
最終的には、再診料引き下げを見送る一方、診療所や中小病院が算定する外来管理加算の算定要件を厳しくし、これによって捻出した財源を病院にシフトすることなどで決着。その上で、初・再診料のほか、病院や有床診療所が算定する入院基本料などを含む「基本診療料」の在り方を、今後の報酬改定で引き続き検討することとされた。
■「入院基本料引き上げを」
基調講演後のシンポジウムでは、遠藤会長のほか▽伊藤雅治・全国社会保険協会連合会理事長▽山本修三・日本病院会会長▽飯野奈津子・NHK生活情報部長▽竹嶋康弘・日本医師会副会長▽柴田雅人・国民健康保険中央会理事長-が登壇し、入院基本料の在り方などをめぐり意見交換した。
伊藤氏は、全国52か所ある社会保険病院全体の収益が、06年度から08年度の3年間で91億円減少した経緯を説明し、「これ以上の診療報酬抑制が続けば、医師、看護師の確保ができなくなる」などと述べた。その上で、グループ全体の赤字を解消するには、最低でも3.83%の入院基本料引き上げが必要だと訴えた。
山本氏は、看護師をどれだけ配置しているかで入院基本料の点数が変わる現在の仕組みについて、「いろいろな職種の人がチーム医療をやっているのに、看護師の数だけで決まる点には違和感がある」などと述べた。
飯野氏は、急性期病院の入院基本料引き上げの必要性を指摘。同時に、国民が納得できるよう、必要額は根拠に基づいて算出すべきだと訴えた。竹嶋氏は、良質な医療を提供するため、医療費増に伴う財源確保について議論する必要性を強調。一方、柴田氏は「診療報酬改定の話をする時には当然、見直すべきは見直すことが前提になる」と指摘した。
また、医療従事者の配置や設備などの状況を考えれば、現在は「診療所に有利な配分というのが素直な見方だ」と述べた。
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